『カルドセプト ビギンズ』を始めたとき、わしはかなり単純に考えていた。
「サイコロ振って進むだけやろ?」
昔セガサターンで『カルドセプト』を遊んだ記憶はある。
でも覚えていたのは、カードを集めてクリーチャーを出して戦うゲームということくらい。
だから今回も、
「まあ、カードゲームにボードゲームが付いとる感じやろ。」
その程度だった。
ところが数ターン進んだあたりから、サイコロを振っている時間より盤面を見て止まっている時間の方が長くなってきた。
「あれ? あっち危ないな。」
「いや、先にこっち取っとこ。」
さらに相手の土地が育ってくると、
「おいおい、どないせぇ言うねん! もう向こうアガリになってしまうやんけ!!」
カードだけ見とったら全然あかん。
わしが一番おもしろいと思ったのは、サイコロそのものより、振ったあとに始まる「さて、どうする?」の時間やった。
| 遊んでいて変わったところ | わしが見るようになったもの |
|---|---|
| 最初 | 止まったマスだけ |
| 数ターン後 | 自分と相手の土地 |
| 相手の土地が育つ | 踏みたくない場所 |
| 自分の土地が増える | 守りたい場所 |
| 一番おもろかったところ | サイコロを振ったあとに悩む時間 |
一回止まるたびに「さて、どうする?」
『カルドセプト ビギンズ』は、サイコロを振ってマスを進む。

空いている土地へ止まる。
「ここ取るか。」
自分の土地へ止まる。
「育てるか。」
相手の土地へ止まる。
「攻めるか。」
場合によっては何もしない。
一回止まるたびに、
「さて、どうする?」
が始まる。
しかも今のマスだけ見ればいいわけじゃない。
ここを取ったら次はどうなる。
この土地へ投資してええんか。
相手がこっちへ来たらどうする。
ひとつ決めるだけなのに、その先まで考え始める。
「サイコロ振って進むだけやろ?」
全然ちゃうかった。
サイコロ振るん一瞬や。
そのあと、わしが止まっとる。
最初は目の前の一マスしか見てなかった
チュートリアルを始めた頃は、本当に目の前しか見ていなかった。
止まった。
空いてる。
置く。
終わり。
ところがターンが進むと、
「あっち育ってきたな。」
「このまま行ったら危ないんちゃうか。」
「一周して戻った方がええか?」
だんだん視線が遠くなっていった。
気づけば、自分が今止まっている場所より盤面全体を見ている。
相手がどこを持っている。
次にどっちへ進みそうなのか。
どこを育てようとしているのか。
最初は一マスしか見てなかったゲームが、いつの間にか盤面を見るゲームになっていた。
ここから一気におもろくなった。
数ターン前まで安全だった場所が地獄になっとる
さらにおもしろいのが、盤面がずっと同じじゃないこと。
こちらが土地を取る。
相手も取る。
こちらが育てる。
相手も育てる。

さっきまで普通に通れた場所が、数ターン後には、
「そこ絶対踏みたくないんですけど!」
になっとる。
逆に自分の土地が固まってくると、
「よしよし、この辺はわしのもんじゃ。」
となる。
同じマップやのに、どんどん景色が変わっていく。
完成した盤面で遊ぶんじゃなく、自分と相手が遊びながら盤面そのものを作っている。
そして、その盤面が今度はこっちの行動を縛ってくる。
「そっちは行きたくない。」
「こっち通らせてくれ。」
ゲーム後半になると、最初とはまったく違う場所に見えてくる。
サイコロで予定を壊されてからが本番
もちろんサイコロを使う以上、思い通りにはならん。
「そこ行きたいんじゃあ!」
と思っても欲しい数字が出ない。
予定していた場所へ行けないこともある。

でも、
「サイコロ悪かったから終わり。」
にはならんかった。
思っていた場所と違うところへ止まる。
「ほな、ここで何する?」
また考える。
攻めるか。
土地を取るか。
育てるか。
何もしないか。
予定どおりに進めなかったら、その場所からもう一回考え直す。
完全に思いどおりにはならん。
でも、止まったあとの判断は自分でできる。
この運と判断が混ざっとる感じが、わしにはかなり遊びやすかった。
自分の土地が妙にかわいくなってくる
ゲーム開始直後は何も思ってなかった土地も、自分で取って育てていくと変わってくる。
「あそこもわし。」
「ここもわし。」

さらに育てる。
「ここは取られたくない。」
ただのマスやのに、妙に愛着が湧いてくる。
何ターンもかけて取って、育てた結果が盤面にそのまま残っているからやろう。
その横には、相手が育てた土地がある。
こっちは全然かわいくない。
「邪魔じゃあ!」
自分の土地は守りたい。
相手の土地は踏みたくない。
そんな場所が増えるほど、サイコロを振ったあとに盤面を見る時間も長くなっていった。
サイコロはすぐ振る。そのあとが長い。
『カルドセプト ビギンズ』で、わしが一番おもろいと思ったのはここやった。

コントローラーを持ったまま、
「うーん……。」
盤面を見る。
相手を見る。
もう一回盤面を見る。
「こっち行ったらどうなる?」
また止まる。
何も入力してない。
でも頭の中ではずっとゲームしとる。
ようやく決める。
「よし、こっちじゃ!」
自分の考えた一手がハマったら気持ちええ。
「そっち来るんかい!」
と崩されたら、また考える。
最初は、
「サイコロ振って進むだけやろ?」
やった。
今はサイコロなんかすぐ振る。
問題はそのあとや。
「さて……どうする?」
またコントローラー持ったまま止まっとる。
一手考えとるだけで時間溶けるわ、これ。
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